ウォルト・ディズニー・ジャパンから2022年3月25日に劇場公開された「ナイトメア・アリー」の感想記事です。
ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説『ナイトメア・アリー 悪夢小路』を原作とし、『悪魔の往く町』(1947)に続く2度目の映画化作品です。
第94回アカデミー賞では作品賞に加え撮影、美術、衣装デザインの計4部門にノミネートされました。
オススメ度
あらすじ&予告編
ショービジネスでの成功を夢みる野心にあふれた青年スタンは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座とめぐり合う。
そこで読心術の技を学んだスタンは、人をひきつける天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。
しかし、その先には思いがけない闇が待ち受けていた…
作品情報
原題:Nightmare Alley
製作国:アメリカ(2021年)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ギレルモ・デル・トロ
本編:150分
出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ、ロン・パールマン、メアリー・スティーンバージェン、デヴィッド・ストラザーンほか
レビュー
大恐慌時代のアメリカを舞台に、野心に溢れるショービジネス界で成功した男が、思いがけないところから人生を狂わせていく様を描いた作品。
「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017)で、第90回アカデミー賞で作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞と最多4冠に輝いたギレルモ・デル・トロ監督の渾身のひと作。
本作はファンタジー要素を排し、1940年前後の現実世界を舞台に”運命”と”人間性”を軸に描いた作品で、その難しい世界観を映像化すべくブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラなどの演技派俳優陣が脇を固めていて、冒頭からその演技力に引き付けられます。
ギレルモ・デル・トロ”らしさ”とも取れる「ダークさ」が根底にありながら、淡々と進むストーリーと、華やかなショービズが舞台であり、心理戦やトリックに導かれ、飽きる隙を与えない。
原作小説に忠実といった触れ込みを大いに感じさせるセットの作り込みの深さは、控えめに言って目を見張るものがあるし、おそらくリメイクのオマージュなど過去作を知っていると更に面白味を増すような演出を感じさせてくれるような出来栄えです。
奇しくも大恐慌時代のアメリカを想像するに余りある澱んだ空気感と絶望感が、見世物小屋という対比物を経て顕著にその存在を存在を顕にしている様に感じられます。
それだけに、ブラッドリー・クーパーがどれだけ足掻いても逃れられない運命に抗い、破滅に向かって突き進んだ先で見せるあの表情… 強烈すぎて残ってしまいますね〜
人には決して侵してはならない境界線があり、それを超えると人間でさえいられなくなるという恐怖心。 説得力を感じる演技に打たれました。
抜群のセットデザインと、演者の最高の演技を引き出した文句なしの秀作であると感じます。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.0 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 80% Audience 6%
metacritic METASCORE 70 USER SCORE 7.0
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