2024年3月8日に開催された「第47回 日本アカデミー賞授賞式」の受賞作品のまとめ記事です。
ゴジラ-1.0
『ゴジラ』シリーズでは37作目であり、国産の実写作品としては『シン・ゴジラ』(2016)以来7年ぶりとな通算30作目で、ゴジラ生誕70周年記念作品と位置付けられる作品です。
第47回日本アカデミー賞で作品賞、脚本賞(山崎貴)、助演女優賞(安藤サクラ)、撮影賞(柴崎幸三)、照明賞(上田なりゆき)、美術賞(上條安里)、録音賞(竹内久史)、編集賞(宮島竜治)と8つの最優秀賞と、監督賞、主演男優賞(神木隆之介)、主演女優賞(浜辺美波)、音楽賞(佐藤直紀)が優勝賞を受賞する大旋風を巻き起こしました!!
日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔”ゴジラ“。
28作目「ゴジラ FINAL WARS」(2004)までの着ぐるみから、VFXを駆使した29作目「シン・ゴジラ」(2016)までにおいて”現在”を描いてきましたが、その生誕70周年記念すべき30作目の本作は”過去”を描いているのが大きな特徴ではないでしょうか。
戦後の復興期を迎える日本をリアルに表現した「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)を手掛けた山崎貴が監督だからこそ描けた作品であるのは言うまでもなく、1作目の「ゴジラ」(1954)をも悠に遡る時代背景で描かれるゴジラは秀逸です。
脚本はツッコミどころが多いところは否めないながらも、”絶望の象徴”とも呼ばれるゴジラを抜群に表現出来ている様に感じられるし、昭和の街並みのセットなど再現度高い演出が素晴らしいことに加え、戦闘機や軍艦が織りなす臨場感は圧巻の一言に尽きます。
PERFECT DAYS
第47回日本アカデミー賞で最優秀監督賞(ヴィム・ヴェンダース)、最優秀主演男優賞(役所広司)、優秀作品賞を受賞しています。
東京の公衆トイレをクリエイティブに改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に関連した映像化をドイツのビム・ベンダースが監督を請け負った作品。
寡黙なトイレの清掃員の日々を描き、大きな事件が起きることもなく淡々と繰り広げられるストーリーが何故ここまで刺さるのだろうか。
怪物
第47回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞(安藤サクラ)、優秀作品賞、監督賞・編集賞(是枝裕和)、撮影賞(近藤龍人)、照明賞(尾下栄治)、音楽賞(坂本龍一)、録音賞(冨田和彦)、新人俳優賞(黒川想、柊木陽太)を受賞しています。
真相がわからない一連の出来事を複数の当事者の視点から描かれている作品。
視点を変えながら、学校での事象や関わり、台風の一夜の出来事が多面的に語られることで事実が徐々に明かされていきます。
君たちはどう生きるか
「風立ちぬ」(2013)を最後に長編作品から退くことを表明した日本が誇る巨匠”宮崎駿”が、引退を撤回して挑んだ長編アニメーション。
吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』からタイトルを取っているが直接の原作とはならず、同小説が主人公にとって大きな意味を持つという形で関わる冒険活劇ファンタジー作品です。
第47回日本アカデミー賞にて最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
ジブリ特有とも言える瞳の奥深さと階段の駆け上がりを観て、あぁジブリを観てるなぁ…とそれだけで満足感にも似た感情になって引き込まれます。
BLUE GIANT
「ビッグコミック」連載の石塚真一の人気ジャズ漫画「BLUE GIANT」を原作にしたアニメ映画化作品です。
第47回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞(上原ひろみ)、優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
音を大事にするに作品にあって”声”という音に対してもやはりハズレではいけない。 普段は表情や感情、動きを主体として声を出している俳優さんを使いながらも、しっかりハマっていたしキャラクターが表現されていました。 配役も演じる側も演出家も大変難しかったことでしょう。
何より音から”努力”が見えました。 大の3年や雪祈の14年、玉田の努力の過程が見えるように演出されていたのは見事としか言いようがない…
市子
監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した「川辺市⼦のために」を原作とした作品です。
第47回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞(杉咲花)を受賞しています。
自分が、または目の前にいる人物は何者か。
東野圭吾の「白夜行」や、昨年のアカデミー賞受賞最多8部門受賞が記憶に新しい「ある男」(2022)でも問われた存在証明。
人種や肩書きをはじめ色々なものを脱ぎ、名前までも捨て最小単位となった”ある男”という存在と対照的に、戸籍を持たないため存在証明すら出来ない女性を描いています。
シン・仮面ライダー
1971年に放送されたテレビシリーズ『仮面ライダー』、石ノ森章太郎の原作漫画『仮面ライダー』をリブートし描かれる現代を舞台にした新たな物語で、仮面ライダー生誕50周年企画作品のひとつ。
庵野秀明が監督を務める実写作品としては、『シン・ゴジラ』(2016)以来の作品です。
第47回日本アカデミー賞で優秀助演女優賞(浜辺美波)を受賞しています。
1971年放送開始の特撮テレビドラマ「仮面ライダー」は、当時の技術や予算の関係などもあり、いわゆる”子供向け”にならざるを得なかった背景がありましたが、庵野秀明という超絶オタクと物好きな大人たちがそれぞれの愛で再構築した作品となっています。
初代へのリスペクトを忘れずに、現代版としてリブートする上で時代背景をはじめとした整合性を高め、石ノ森章太郎の原作をもしっかり踏襲。
四半世紀を超えるライダーファンとしては、”感謝”の一言に尽きます。
首
北野武にとって6年ぶり19作目の監督作です。
第47回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞(加瀬亮)、撮影賞(浜田毅)、照明賞(高屋齋)、美術賞(瀬下幸治)、編集賞(太田義則)を受賞しています。
「本能寺の変」とそれに至るまでを描いた本作が、擦られまくってきた歴史観を覆しながらも、こんな解釈があっても良いのではないかと思える内容に感じさせるのは世界のキタノだからなのかw
大河ではなし得ない圧倒的戦国スペクタクル感と、さまざまな人物の野望と策略が入り乱れる様を見事に落とし込んでいるのは間違いないでしょう。
これほどまでに人間の醜さが際立っている作品は観たことないかもしれないw
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』を原作としたテレビシリーズ第6期の劇場用作品で、水木しげる生誕100年記念作品です。
第47回日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
昭和31年を舞台に、行方不明の妻を探し哭倉村へやってきた鬼太郎の父と血液銀行に勤める水木の”妖怪”と”人間”のバディムービー。
まるで犬神家の一族のような異様な雰囲気を醸し出す哭倉村という地方の閉鎖的なコミュニティと、妖怪のコラボが見事に見事にハマっていると共に、戦争帰りで血液銀行勤務といった時代設定がリアリティを生む背景が個人的には抜群であるように感じます。
キングダム 運命の炎
原泰久の人気漫画を実写映画化した大ヒット作「キングダム」シリーズの第3作。
第47回日本アカデミー賞で優秀撮影賞(佐光朗)、照明賞(加瀬弘行)を受賞しています。
嬴政の過去に遡り、自身が中華を統一する王への想いを綴るシーンは若干長いな…と思いつつも、紫夏演じる杏の好演もあり、ヒューマンドラマとしては良い形に仕上がっていたように感じます。
戦のシーンは…うん、もうなんか凄いw
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以上、「第47回 日本アカデミー賞授賞式」で受賞した数々の作品のまとめ記事でした。