キノフィルムズから2024年9月29日に劇場公開された「八犬伝」の感想記事です。
山田風太郎の小説「八犬伝」の実写映像化作品です。
オススメ度
あらすじ&予告編
人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。
それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。
絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る…
作品情報
製作国:日本(2024年)
配給:キノフィルムズ
監督:曽利文彦
本編:149分
出演:役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、小木茂光、丸山智己、真飛聖、忍成修吾、塩野瑛久、神尾佑、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、大貫勇輔、立川談春、黒木華、寺島しのぶほか
レビュー
ダイナミックなスケールで描く八犬伝と、物語を生み出した滝沢馬琴の感動の実話を交錯させて描いた本作は、ハイクオリティの八犬伝パートに滝沢馬琴の想いや苦悩が織り交ぜられることで深みが出ているのが実に印象的。
”虚”と”実”のバランスが素晴らしい!
”虚”パートでは物語の要点は外さずに149分でまとめきったのは好感が持てるのは間違いないですが、ドラゴンボールよりも集めるのが遥かに難しいであろう八犬士の紆余曲折の物語が簡素過ぎてキャラが立っていない感は否めず。
”実”パートはその分しっかり語られていたように感じられ、鶴屋南北の四谷怪談の部分が個人的にはハイライト。 虚実をどう描くべきか議論するのは実に面白かったし、この世が今だに善因悪果、悪因善果であることへの風刺的な面も感じられてよかったです。
役所広司と内野聖陽の掛け合いが堪らなく、流石と言わんばかり。 磯村勇斗も含めて役づくりが素晴らしい。
1人の作家の葛藤と執念がもちろん我々にも刺さるのだが、作家の人々にはより刺さるのかなぁとも感じさせられる良作です。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像