ギャガから2019年3月1日に劇場公開された「グリーンブック」の感想記事です。
ジャマイカ系アメリカ人のクラシック及びジャズピアニストであるドン”ドクター”シャーリーと、シャーリーの運転手兼ボディガードを務めたイタリア系アメリカ人のバウンサー、トニー・ヴァレロンガによって1962年に実際に行われたアメリカ最南部を回るコンサートツアーにインスパイアされた作品です。
第91回アカデミー賞で作品賞、脚本賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の三部門を受賞しています。
オススメ度
あらすじ&予告編
1962年。 天才黒人ピアニストは、粗野なイタリア系用心棒を雇い、〔黒人専用ガイドブック<グリーンブック>〕を頼りに、あえて差別の色濃い南部へコンサート・ツアーへ繰り出す…
作品情報
原題:Green Book
製作国:アメリカ(2018年)
配給:ギャガ
監督:ピーター・ファレリー
本編:130分
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニほか
レビュー
コミカルかつハートフルなおっさんふたりのロードムービー。
白人ながら貧困層に分類されるであろう粗野なイタリア系のトニーと、黒人でありながら知的で裕福に暮らすシャーリーは黒人コミュニティでも馴染めない。
フランスの名作「最強のふたり」(2011)に既視感のある白人と黒人、そして育ちも生活もかけ離れた2人が友情を築いていく実話ベースのストーリー展開は、フィクション顔負けの凸凹コンビゆえに絆の強さが際立つところもそのままに、誤解と理解を繰り返しながら深め合う信頼がキーポイントとなっています。
人種差別などの社会問題がとても複雑に入り組んだ構成に、単純かつ明快なストーリーを盛り込むことで観ているこちら側には抜群の気持ち良さを得られます。
黒人差別の激しい南部へのコンサートツアーを決行するシャーリーの決断は、偏見に立ち向かうという意図を含んだものであることは間違いないが、理解者であろうとする白人との溝の深さを露見させていて、このストーリーを観ていて心地良さを感じるのをやや躊躇わせられる。
劇中にあるフライドチキンのくだりに代表されるように、美味いものは美味い、良いものは良いと言える時代に今でこそなったとも言えるが、当時を生きた人々の苦労は考えるに余りあるように感じます。
いずれにせよ相反する二人が互いに友情を育み、その過程のエピソードがキラキラと輝くエッセンスを振り撒いていて、互いの立場に立って物事を見つめることの大切さを教えてくれていることは間違いないですし、60年代を舞台にしながら普遍的な力強いメッセージをもたらしてくれる傑作と言って良いに感じます。
アカデミー賞を受賞するのも頷ける、万人共通に認められる傑作であると感じます。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 8.2 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 77% Audience 91%
metacritic METASCORE 69 USER SCORE 8.0
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