2020年2月9日に開催された「第92回アカデミー賞授賞式」で受賞、またはノミネートした作品の感想記事のまとめです。
印象深い作品で数々が様々な受賞を果たしていますが、選り好みでオススメ作品を紹介させていただきます。
「パラサイト 半地下の家族」
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。
第92回アカデミー賞でも外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本、国際長編映画賞の4部門に輝くなど世界的に注目を集めました。
文字通り寄生していく様は見事。
全体に散りばめられたコメディ要素に笑っていたのも束の間、途中からはガラリと変わって脱出劇からのサイコスリラー調となっていき、様々なテイストを一度に味わえる作品です。
「ジョーカー」
本作はベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞するなど世界中で大きな話題となり、第92回アカデミー賞ではホアキン・フェニックスが4度目のノミネートにして初の主演男優賞を受賞を果たしました。
作品賞、編集賞、そして脚色賞(トッド・フィリップス、スコット・シルバー)を含め11部門でノミネート、作曲賞(ヒドゥル・グドナドッティル)を受賞しています。
様々な俳優によって演じられてきたジョーカーの中でも1番と言って良いほどに人間として共感でき、シリアスを形にしたような作品です。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
近年は自身の製作会社プランBエンタテインメントでプロデューサー業にも力を入れており、製作と出演を兼ねた「それでも夜は明ける」(13)、製作総指揮を務めた「ムーンライト」(16)がアカデミー作品賞を受賞しているブラッド・ピットが助演男優賞を受賞、俳優として初のオスカー像を手にしました。
1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件を背景にハリウッド映画界を描いた作品で、クエンティン・タランティーノの監督第9作目であり、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演作品となった話題作です。
また、主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)、美術賞を含む10部門でノミネートされてました。
落ち目の活劇俳優と寡黙なスタントマンを軸にしたバディ・ムービー調で、映画業界が下火になっていき、通りをヒッピーが闊歩する当時の光景をタランティーノの手腕によって愛のあるタッチに再現されています。
ファッションや車、街並みなどのセットと、60年代をこれでもかと演出しているこの作品の雰囲気が好きな人は多いのではないでしょうか。
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
密室での資産家の怪死、動機に満ちた面々、個性的な私立探偵などのミステリーの定番要素を押さえた古き良き探偵小説の具現化のような、まさにアガサ・クリスティーへのリスペクトが前面に押し出された作品です。
「ジョジョ・ラビット」
クリスティン・ルーネンズの『Caging Skies』を原作にした、第二次世界大戦中を舞台としたコメディ作品です。
脚色賞(タイカ・ワイティティ)受賞し、作品賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞の6部門にノミネートされました。
第二次大戦下のドイツで、自身の作り出した幻のヒトラーと対話しながら暮らす小心者の少年であるジョジョの視点から進められるストーリーは、様々な描かれ方をしてきたホロコーストにユーモアを持ち込み独特の世界観を作り上げています。
監督・製作・脚本に加えヒトラー役をタイカ・ワイティティが務めています。
「フォードvsフェラーリ」
1960年代のスポーツカー耐久レースの世界で繰り広げられたフォード対フェラーリの覇権争いの実話を脚色した作品です。
作品賞含む4部門でノミネート、編集賞、音響編集賞を受賞しています。
1960年代のカーレースの世界を舞台に絶対王者のフェラーリを倒すために挑んだ2人の男を中心に描くアツい男たちのヒューマンドラマです。
「アイリッシュマン」
チャールズ・ブラントが2004年に発表した同名のノンフィクション小説を原作とした実写映像化作品です。
作品賞、監督賞、助演男優賞(アル・パチーノ、ジョー・ペシ)、脚色賞、編集賞を含む9部門10ノミネートされました。
フランク・シーランの半生を描いた作品。
インダストリアル・ライト&マジックによる特殊効果によって、それぞれの風貌を若返らせることで一人の俳優が演じきることが可能になったために、20代から80代までのシーランを演じるロバート・デ・ニーロも、ホッファ役のアル・パチーノ、ブファリーノ役のジョー・ペシも全ての年代を自身で演じています。
ノンフィクション小説を原作とするからこその緊迫感と作品への入り込みやすさがあり、観終わった後には考えさせることも多く、配信映画の枠を大きく超えた作品です。
「アド・アストラ」
日本での20世紀フォックス配給最後の作品です。
録音賞(ゲイリー・ライドストロム, マーク・ウラノ, トム・ジョンソン)にノミネートされました。
太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を捜しに旅立つ宇宙飛行士の姿を描いたSF大作。
地球から月、火星を経由し太陽系の果ての海王星へと旅立つ壮大な宇宙旅行は、人間らしさを取り戻す一人の人間のヒューマンドラマとして構成されています。
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以上、「第92回アカデミー賞授賞式」で受賞、またはノミネートした作品の数々でした。
この年に関して言うとブラッド・ピットの印象がかなり強いですが、どれも名作揃いで共にオススメ度は高い作品となっていますね~
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