2023年3月10日に開催された「第46回 日本アカデミー賞授賞式」の受賞作品のまとめ記事です。
「ある男」
芥川賞作家の平野啓一郎による同名ベストセラー長編小説の実写映像化作品です。
最優秀作品賞を含む最多8部門の受賞
最優秀監督賞(石川慶)、最優秀脚本賞(向井康介)、最優秀主演男優賞(妻夫木聡)、最優秀助演男優賞(窪田正孝)、最優秀助演女優賞(安藤サクラ)、最優秀録音賞(小川武)、最優秀編集賞(石川慶)と席巻しました。
事故死した旦那の過去を追うミステリー的に展開するストーリーは、ややスローペースながらに引き込まれる要素が強く感じます。
アイデンティティを問う深みあるテーマは、在日3世の弁護士を軸に据えその謎に迫っていく。
自分が、または目の前にいる人物が何者か、人種や肩書きをはじめ色々なものを脱ぎ、名前までも捨てた最小単位となった”ある男”という存在。
そこまでいって初めて自分らしく生きれる存在になれる事実もあるのかもしれないと考えさせられました。
「ケイコ 目を澄ませて」
2013年までに4戦を戦った耳が聞こえない元プロボクサーの小笠原恵子の自伝「負けないで!」を原案とした作品です。
最優秀主演女優賞(岸井ゆきの)受賞
生まれつきの聴覚障害を持つ女子プロボクサーの苦悩と葛藤を描いた作品。
小笠原恵子の実話に基づく作品ゆえに、身体作りやボクシング技術に余念なく取り組んだように見える岸井ゆきのの努力が垣間見え、加えて手話と表現力だけで感情を伝える難しい役どころを見事に演じています。
「THE FIRST SLAM DUNK」
週刊少年ジャンプで連載された井上雄彦による高校バスケを題材にした大人気漫画『SLAM DUNK』を、井上雄彦自ら監督・脚本を務めたアニメーション作品です。
最優秀アニメーション作品賞受賞
一切の情報がないことから来る期待と不安を一蹴。
そう来たか…の一言に尽きる。
CGを駆使しながらも、漫画に色をつけたようなアニメーションとして仕上げ、原作の持ち味を損なわないことを主張したような完成度を誇る作品です。
「シン・ウルトラマン」
シン・ゴジラの庵野秀明と樋口真嗣が再びタッグを組んだことで話題となった作品です。
最優秀撮影賞(市川修、鈴木啓造)、最優秀照明賞(吉角荘介)、最優秀美術賞(田裕至、佐久嶋依里)の3部門受賞
今までのウルトラマンの原点にして、成田亨氏が目指した本来の姿の再現。
時代も令和と世界観の移り変わりにも動じず、オリジナルへ回帰したウルトラマン。
ディテール、キャスティング、ストーリーと『空想と浪漫。そして、友情。』をテーマに、特撮が好きで堪らない大人が、子供の頃好きだったものをあらゆる現代技術を駆使してもう一度作ろうとするとこうなるという作品の最大値。
ウルトラマン愛を一身に受け取れる作品です。
「すずめの戸締まり」
『天気の子』以来3年ぶりとなる、新海誠が原作・監督・脚本を務める8作目のアニメーション作品です。
優秀音楽賞(RADWIMPS/陣内一真)受賞
女子高生と小さい椅子のバディムービー調のアドベンチャー作品。 加えてファンタジーかつラブロマンスの新海節全開であると言って良いでしょう。
海や空、はたまた常世の描写まで素晴らしい映像美に魅せられ、主題歌を含む音楽とのマッチも絶妙。
そして何より出会う全てのキャラクターが際立っていて作品への没入感を加速させてくれます。
「トップガン マーヴェリック」
アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校”トップガン”に所属するエースパイロット候補生の栄光と挫折の日々を、迫力のスカイアクションと瑞々しい青春と恋の群像を合わせて描いた『トップガン』(1986年)の続編です。
前作で主演を務めたトム・クルーズが引き続き戻ってきたことで大きな話題となりました。
最優秀外国作品賞受賞
圧巻です。
戦闘機の内外に取り付けられたカメラアングルの映像からド迫力のスカイアクションを擬似体験できます。
CGに頼らず、実際に最大20台以上のカメラを使用して撮影しているようで、Gのかかり具合がこちらまでしっかり伝わってくる感じが堪らないw
「ONE PIECE FILM RED」
尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』を原作としたアニメの劇場版第15作目で、FILMシリーズの第4作目、原作連載25周年記念作品です。
話題賞(作品部門)受賞
- オープニングテーマにもなっている「新時代」から始まり、7曲の歌を交えた新種のワンピース。
Adoの世界観とウタの二面性がガッチリ一致しているのでハマっているな〜と感じましたし、大きな矛盾点なく良く練り上げられたストーリーです。
「ラーゲリより愛を込めて」
辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基にした、実在の日本人捕虜である山本幡男の伝記作品です。
惜しくも受賞はなりませんでしたが、優秀主演男優賞(二宮和也)も素晴らしい名演でした。
本編を観るにつれあまりの残酷な抑留生活に言葉を失うと共に、演出としてこれでもかと泣かせに来るがそこに違和感がないように感じられるのは事実を基にしているからでしょう。
流石に犬のくだりだったりあまりにそれらしい風貌や格好などやり過ぎ感溢れる気もしましたが、パンフレットを観る限りもはや忠実に再現されているとしか良いようの無い演出の数々。
原作は未読ですが、”遺書”から「愛を込めて」に変更された映画タイトル通り、”愛”に満ちた作品となっていました。
「ハケンアニメ!」
直木賞作家・辻村深月がアニメ業界で奮闘する人々の姿を描いた小説「ハケンアニメ!」を原作とした実写映像化作品です。
優秀作品賞、優秀監督賞(吉野耕平)、優秀主演女優賞(吉岡里帆)、優秀助演男優賞(柄本佑)、優秀助演女優賞(尾野真千子)となっています。
日本が世界に誇る文化”アニメ”の裏側を描いた製作に情熱を注ぐ人々の物語。
覇権と視聴率を争うストーリー展開に加え、根性論やお決まりの恋愛要素まで加える展開はいささか時代錯誤感はありますが、スポ根的展開はいついかなる時代も共通認識であり、胸を熱くしてくれるのは間違いないでしょう。
「ヘルドッグス」
深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」を原作とした映像化作品です。
優秀助演男優賞(坂口健太郎)の怪演も素晴らしかったですねw
元警官の兼高昭吾の一貫した大きな信念と、殺し屋稼業によるアクションとファイル奪還ミッションを軸に繰り広げられる人間模様は圧巻のクオリティで、なかなかの長尺ながらその長さを気にすることなく楽しめます。
「キングダム2 遙かなる大地へ」
原泰久による大人気漫画『キングダム』の実写映画化で、2019年に公開された前作の続編です。
優秀助演女優賞(清野菜名)の好演も光りました。
やはりこの作品の見どころはなんと言ってもアクションシーン! 山崎賢人演じる信は前回以上にパワーアップした殺陣を繰り広げます。 さらに今回初登場の清野菜名演じる羌瘣の「巫舞」は鳥肌ものです。 実写化するとこうなるのか…
本編では主に蛇甘平原の戦いを描いていますが、戦のシーンも非常にスケールの大きさを感じさせられました。 攻城戦こそありませんが、大河ドラマでは味わえないような臨場感溢れる作品になっています。
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以上、「第46回 日本アカデミー賞授賞式」で受賞した数々の作品のまとめ記事でした。
バックナンバーは以下から。
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