ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-

東宝から2018年8月24日に劇場公開された「ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-」の感想記事です。

メアリと魔女の花』のスタジオポノックが描く、3つの短編作品です。

オススメ度3.5

あらすじ&予告編

兄と弟の勇気、母と子の絆、そして、たったひとりの闘い。

“現代の小さな英雄”をテーマに描かれる3つの奇跡の物語…

作品情報

製作国:日本(2018年)

配給:東宝

監督:米林宏昌、百瀬義行、山下明彦

本編:54分(3作品合計)

出演:木村文乃、鈴木梨央、尾野真千子、篠原湊大、坂口健太郎、オダギリジョー、田中泯ほか

レビュー

『カニーニとカニーノ』

赤いマントとハサミ型の槍を持つ可愛らしいディテールで描いたサワガニの擬人化が光るアドベンチャー作品。

デフォルメを排された他の生物との対比が抜群で、川の生態系はひと目で分からされるとともに、流れや気泡ひとつで生命の危機に晒される小さな世界観は「借りぐらしのアリエッティ」(2010)を感じさせます。

全体的な空気感をはじめ、カニーニの表情などジブリ感が要所に出ているのが良いです。

『サムライエッグ』

生まれつき重度の卵アレルギーに苦しむ少年を描いた作品。

個人としてはそれほど重度のアレルギーは持っていないながらも苦しさが分かる内容に、描写が大いに重なってツラさが伝わってきます。

題材に着目する素晴らしさはもちろん、乳歯から永久歯に切り替わるようにどんどん成長を重ねる子供がアレルギーに立ち向かう様相を描く短編グロースストーリーはインパクト抜群です。

文字通り死活問題。 私はバラ科の果物、特に桃にかぶりつくと呼吸困難になるレベルですが、どうか世界からアレルギーが少しでも減ることを祈るばかりです。

『透明人間』

誰にも見えないし、重さもない透明人間の青年を描いた短編作品。

それでも働くし、万引きもしない善良な人間である彼を見ることが出来るのは、盲目の老人と盲導犬、さらには赤ちゃん。

襲い来る強風をはじめ曇天や人間社会と対比することで浮かび上がる人間性は、誰よりも人間らしく際立っている気がします。

 

ジブリカラーを色濃く残すスタジオポノックだからこそ描ける映像描写と、三者三様の監督による画作りの違いを十分に楽しめる作品であると共に、どれかは誰かに刺さる内容であると感じますし、今後もポノックに注目したくなるような作品となっていることは間違いない良作です。

評価

脚本3.5

配役3.0

演出4.0

音楽3.0

映像4.0

IMDb 6.6 / 10

ROTTEN TOMATOS Tomatometer –% Audience 80%

metacritic METASCORE — USER SCORE 6.9

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