アルバトロス・フィルムから2021年2月26日に劇場公開された「カポネ」の感想記事です。
史上最も有名なギャングスター”アル・カポネ”の、その知られざる最晩年を映画化した伝記作品です。
オススメ度
あらすじ&予告編
1940年代半ば、長い服役生活を終えたアル・カポネは、フロリダの大邸宅で家族や友人に囲まれながらひっそりと暮らしていた。 かつてのカリスマ性はすっかり失われ、梅毒の影響による認知症が彼をむしばんでいる。
一方、FBIのクロフォード捜査官はカポネが仮病を装っていると疑い、1000万ドルとも言われる隠し財産の所在を探るべく執拗な監視を続けていた。
カポネの病状は悪化の一途をたどり、現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返すようになっていく…
作品情報
原題:Capone
製作国:アメリカ・カナダ(2020年)
配給:アルバトロス・フィルム
監督:ジョシュ・トランク
本編:104分
出演:トム・ハーディ、リンダ・カーデリーニ、カイル・マクラクラン、ノエル・フィッシャー、マット・ディロンほか
レビュー
「アル・カポネの人生の最晩年を印象主義的に見る」作品。
監督であるジョシュ・トランクがそう形容するように、まさにそれ以上でも以下でもない。
悪名高いギャング”アル・カポネ”の最晩年は、彼の人生を描いた物語でも触れられているのを見ないが、そこに着目するとは… 流石ですね〜
脱税による連邦刑務所での11年の刑期を終え、1939年に出所したカポネは抜け殻となり、以前の面影はなく、敵対するライバル7人を死に追いやり、世間を騒がせた聖バレンタインデーの虐殺の首謀者であったカポネは、病状の進んだ梅毒が原因で初期の認知症を患っていた。
すっかり変わり果てた姿で出所して、自分の帝国が影も形もなくなっていることを知る。 さらにはゆっくりとすべてを、愛する者たちの顔さえも忘れていく過程はひどく苦しいものだったにちがいないというような観点から語られていることから、伝説的なアル・カポネの印象が強い人々には困惑してしまう冒頭の入りかも知れませんね。
そんな重々しいテーマながら、病魔に蝕まれていくカポネを生々しく演じるトム・ハーディが抜群の演技力で緊張感を煽り画面に引きつけます。
これまでも役柄ごとに変幻自在の役作りで風貌を変えてきたトム・ハーディが、本作でも連日4時間のメイクアップを施して最晩年のカポネに変身。 スカーフェイスをリアルに再現するとともに、死のオブセッションや狂気に駆られるカポネの不安定な内面を見事に体現。
さらにマット・ディロンやカイル・マクラクランといった個性派俳優陣が脇を固め、見応え十分です。
過去に描かれてきた”アル・カポネ”を含む感想になってしまうかも知れませんが、これほどに厚みがあり深い情感と複雑な人間性を持つカポネが、刑務所を出た後も自分の心に閉じ込められる様を観られるのは、ハーディの好演だけでなく脚本の秀逸さ、そして演出の巧妙さが際立っているからであるように感じられます。
血塗られた過去とFBI、そして家族や友人、敵に至るまで、錯乱に苦しみながらラストシーンへ。
派手なストーリーではないにも関わらず、心に刺さる内容となっているように感じます。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 4.7 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 40% Audience 24%
metacritic METASCORE 46 USER SCORE 5.1
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