ギャガから2022年1月21日に劇場公開された「コーダ あいのうた」の感想記事です。
映画祭史上最高額となる2500万ドルでこの映画の配給権を獲得したAppleより、2014年のフランス映画『エール!』の英語リメイク作品です。
第94回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)の3部門でノミネートされ、すべてで受賞を果たし、アカデミー賞の作品部門において動画配信サービスの映画が受賞した初めての作品となりました。
オススメ度
あらすじ&予告編
父のフランク、母のジャッキー、そして兄のレオの4人家族の中で唯一耳が聞こえる高校生のルビー・ロッシは、家族のために通訳となり家業である漁業を手伝う日々を送っていた。
新学期のある日、所属する合唱クラブの顧問のベルナルドは彼女の歌の才能に気づき…
作品情報
原題:CODA
製作国:アメリカ、フランス、カナダ(2022年)
配給:ギャガ
監督:シアン・ヘダー
本編:111分
出演:エミリア・ジョーンズ、エウヘニオ・デルベス、トロイ・コッツァー、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ダニエル・デュラント、マーリー・マトリンほか
レビュー
「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のことを指し、家族で唯一の聴者であるルビーは家族と社会を繋ぐ役目を担っている。
そんな少女の心の葛藤と成長を描いたヒューマン・ドラマに淡い青春ストーリーを交え、聴者である娘に依存する家族の自立の物語とも取れます。
ジェンダーや人種などを題材にした作品が取り上げられることが多い昨今の中で、本作では聾者の家族の生活を描いていて、その窮屈さの中で逞しく生きる素晴らしい家族愛を感じることが出来ます。
「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」(2020)との対比とも言える“無音→音楽”の構図ながら、聾者のコミュニティを一つの文化として捉えた、聴者と聾者の文化的側面を見事に描いています。
また、聾者を演じるのは実際の聾者である俳優陣で、表情と手話で想いを伝える見事な演技力を披露しています。
特に父親役のトロイ・コッツァーが喉に手を当て振動で歌を感じる場面には思わずグッときました。
家族を含め、登場人物のぶつかり合いや、文化的な側面などのリアリティを感じる細かな演出など、聴者であるルビーへの感情移入で作品への没入も容易く非常に見やすいですし、後半へかけての盛り上がりは凄まじい作品となっています。
カナダ人歌手のシンガーソングライターとして有名なジョニ・ミッチェルの名曲「青春の光と影(Both Sides, Now)」では、家族へ向けて手話をつけて歌い、歌詞とそれまでのストーリーが相まって涙腺崩壊必至です。
非常に心温まる作品で、アカデミー賞作品賞受賞も頷ける素晴らしい仕上がりだと思います。
若手俳優であるエミリア・ジョーンズの今後もチェックしていこうと思いますw
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 8.0 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 94% Audience 94%
metacritic METASCORE 74 USER SCORE 7.5
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