Netflixから2019年2月8日に独占配信された「ハイ・フライング・バード -目指せバスケの頂点-」の感想記事です。
ソダーバーグの前作『アンセイン 〜狂気の真実〜』と同様に、iPhone 7のカメラで撮影された作品です。
オススメ度
あらすじ&予告編
レイが代理人を務めるエリックは、今季NBA入団予定ながらロックアウトで試合に出られず契約金をもらえない状態に…
作品情報
原題:High Flying Bird
製作国:アメリカ(2019年)
配給:Netflix
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
本編:90分
出演:アンドレ・ホランド、ザジー・ビーツ、メルヴィン・グレッグ、ソーニャ・ソーン、ザッカリー・クイント、ビル・デューク、カイル・マクラクランほか
レビュー
ストーリー
NBA選手の交渉人レイがNBAのロックアウトに立ち向かう話。
バスケというタイトルに釣られてみた人(自分も含め)はあまりのストーリーの重さにあいた口が塞がらなくなること間違いなしの作品です。
レイが代理人を務めるエリックは今季入団予定ながらロックアウトで試合に出られず、契約金ももらえない状態で借金を抱えたなんとも重苦しい展開から始まります。
ロックアウト状況下では、フリーエージェントの選手は契約を結ぶことはできず、トレードも成立しません。 選手たちはすべての球団施設に立ち入ることができなくなり、故障から復帰を目指してリハビリ中の選手には大きな問題になります。 球団に雇用された選手以外のすべての職員は、選手といかなるコミュニケーションも取ることができなくなります。
近年で言うと2021年のMLBが印象深いです。 田中将大投手も苦渋の決断の末、帰国に至ったのは記憶に新しいです。
そんなロックアウト中に、もちろん選手にはお金は支払われず序盤の重苦しい展開に繋がるわけですね〜 スーパースタークラスでない限りツラい状況です。
そこでレイは自分が代理人を務め、契約前であるエリックを利用しロックアウトを解除する妙案を思いつきます。
エリックとTwitterで論争した今後チームメイトになる予定の選手とチャリティーイベントで争わせ、その1on1を見た子供達がYou Tubeに投稿し全世界に広まりバズらせます。
さらにはNetflixとの会合を取り付けるなどルールギリギリのラインを水面下で動くことで、他に契約をとられまいと躍起になったお偉いさん達は慌ててロックアウトを解除させる。
頭のキレるレイのまさに策略通りに世の中が動いていくのです。
人種問題
アメリカの歴史を語る上でスルーできない人種の壁。
今も根強い問題を抱えるところですが、本作でもしっかりと垣間見えています。
この一面もまた本作を重くさせている要因の一つですね〜
今回のロックアウトの要因はテレビ局やNBAなどのお偉いさん達と選手達の間の利権問題。
5:5を主張するお偉いさん方に対して選手会との折り合いがつかないといった経緯でした。
NBAの選手は全体で約450人でそのうちの約3割が外国人ではありますが、7割のアメリカ人のうちのほとんどが黒人選手である現状を鑑みずにはいられないでしょう。
要所で奴隷云々といった話であったり、黒人を使って白人がぼろ儲けしていると言うシーンがあったりと恨みつらみをのシーンも多々見受けられます。
最後にはレイからエリックに序盤で渡された、来るべき時が来たら見ろと言っていた封筒が開けられ、「黒人アスリートの反乱」の本が出てきています。
レイはエリックに目の前の金銭に囚われず、バスケットボールにおいて誰が主役なのか考えさせ、不当な差別に抵抗するよう言いたかったのかもしれませんね。
NBAプレイヤー
現在ロサンゼルス・クリッパーズに所属するエースガードのレジー・ジャクソンが冒頭から登場し、ミネソタ・ティンバーウルブズのカール=アンソニー・タウンズ、ユタ・ジャズのドノバン・ミッチェルと世代を代表するNBA選手のインタビューがリアルさを大幅にアップさせます。
非常に贅沢な出演ですね〜
バスケ描写もほぼなくエンタメ性は皆無ながら、社会派のドラマ作品としてはテンポも良く、フィクションであるかを忘れさせられるような現実的な内容に加え、NBA選手の吐露もあることによりリアリティさが溢れる作品となっています。
脚本
配役
演出
音楽
映像
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