東宝東和から2023年3月3日に劇場公開された「フェイブルマンズ」の感想記事です。
「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」など、世界中で愛される映画の数々を世に送り出してきた巨匠スティーブン・スピルバーグが、映画監督になるという夢をかなえた自身の原体験を映画にした自伝的作品です。
第47回トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞しています。
オススメ度
あらすじ&予告編
初めて映画館を訪れて以来映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされる。 家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し夢を追い求めていくサミー。 母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親はその夢を単なる趣味としか見なさない。
サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく…
作品情報
原題:The Fabelmans
製作国:アメリカ(2022年)
配給:東宝東和
監督:スティーヴン・スピルバーグ
本編:151分
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、セス・ローゲン、ガブリエル・ラベル、ジャド・ハーシュ、デイヴィッド・リンチほか
レビュー
少年時代に初めて映画に出会い夢中になってから映像制作の仕事を手にするまでを自身を投影した“サミー・フェイブルマン”としてつづった自伝的作品。
ふと自身が初めて観た映画を思い出した方も多かったのではないでしょうか。
名作である『地上最大のショウ』(1952)と比べると小っ恥ずかしい感じもしますが、私の場合は『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994)でしたw
それでも当時幼かった自分には大きなスクリーンで斬新な映像を目にした興奮は思い出すこと容易く、自分の幼少期に照らし合わせて感情移入しやすいことは間違いないでしょう。
黒人居住区の近くに住み、黒人の教会音楽に魅了されたエルヴィス然り、幼少期や少年期に出会ったものに対し一途に向き合い才能を開花させ、世界を魅了する存在となることは尊敬に値することであり、同時に羨ましくも感じてしまいますよね〜
本作はこの半世紀の映画史に大きな影響を与えるスピルバーグの単純なサクセスストーリーでは終わらず、天才である夫の理解者にはなり得ない孤独感を感じる母や、芸術を目指す人間にとって呪いのような言葉を残す大叔父、カメラが映し出す虚像に自己崩壊を引き起こすガキ大将と、サミーを含め取り巻く全てを表すタイトル通り”フェイブルマンズ”のストーリーは思ったより色濃く、心の弱い部分を抉るような描写が要所で見受けられます。 ガキ大将は家族ではないですがw
スピルバーグと言えばどんな場面でも最大限面白くしようとするイメージを大いに持っていただけに、やや肩透かしというか大人しい感じで話は進みますが、ラストシーンのカメラワークのくだりは最高でしたw スピルバーグ作品がなんで好きなのか思い出させてくれました。
惜しくもアカデミー賞受賞は果たせていませんが、最後のシーンはしばらく残ってしまうな~と思わせられる良作です。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.5 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 92% Audience 83%
metacritic METASCORE 84 USER SCORE 7.3
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