パルコから2022年3月25日に劇場公開された「ベルファスト」の感想記事です。
監督であるケネス・ブラナーの半自伝的な作品です。
第94回アカデミー賞にて作品賞、監督賞をはじめとする7部門にノミネートされ、そのうち脚本賞(ケネス・ブラナー)を受賞しています。
オススメ度
あらすじ&予告編
1969年、北アイルランドのベルファスト。
バディ少年は家族の温かさ―決して余裕のある暮らしではなかったが、そこには確かに家族の絆があった―に包まれながらのびのびと成長していた。
その一方で、帰属をめぐって生じた社会の混迷は日を追うごとに深まっていき、ついには人々の穏やかな暮らしをも脅かすようになった。
ここに至り、バディの父親は新天地への移住を決断するが、それが家庭内に不和をもたらしてしまう…
作品情報
原題:Belfast
製作国:イギリス、アイルランド(2021年)
配給:パルコ
監督・脚本:ケネス・ブラナー
本編:98分
出演:ジュード・ヒル、カトリーナ・バルフ、ジェイミー・ドーナン、ジュディ・デンチほか
レビュー
俳優・監督・舞台演出家としてマルチな活躍を見せているケネス・ブラナーが、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。
ブラナーの出身地である北アイルランドのベルファストを舞台に、激動の時代に翻弄されるベルファストの様子や、困難の中で大人になっていく少年の成長などを力強いモノクロ映像で綴られています。
ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディは、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。 それは笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だったが、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。 住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中でバディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られるという、ウクライナ情勢が起こっている昨今では俄かにフィクションと捉えることは出来ません。
国も時代も全く違いながらも、どこか懐かしい空気が漂うベルファストにしっかり感情移入させられ、疑似体験している気にさえさせられる秀作であることは間違いないでしょう。
現在から1969年8月15日に移りあっという間に暴徒に囲まれるという冒頭のカメラワークに一気に引き込まれ、モノクロだからなのか表情であったりセリフがより沁みる気がするなど演出も見事で、全体的に緊迫感も付加しつつ絶妙なバランスを保っています。
98分という割と短尺ながらも、北アイルランド紛争の渦中にいた少年を描くのにとどまらず、家族の視点もしっかりと捉えるように描けたのは、ブラナーの実体験があるからこそ作り得た作品なのかもしれませんね〜
アガサ・クリスティ作品も含め、ますますブラナーには今後も注目したくなるような気持ちにさせてくれる作品であると感じます。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.3 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 86% Audience 92%
metacritic METASCORE 75 USER SCORE 6.6
コメント