ホワット・イフ…?

Disney+
引用元:Disney+

ディズニー・メディア・ディストリビューションから2021年8月11日にDisney+で独占配信された「ホワット・イフ…?」の感想記事です。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では初めてとなるアニメーション作品シリーズで、『アイアンマン』(2008年)から『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)までのシリーズ23作品で構成されるインフィニティ・サーガの世界観で、1話ごとに1タイトルずつテーマとした1話完結形式で、実際には起こらなかった“もしもの展開”が描かれた作品です。

オススメ度3.4

あらすじ&予告編

もしもアベンジャーズたちに別の運命が待っていたとしたら…?

想像を超えた驚くべき”もうひとつ”の物語…

作品情報

原題:What If…?

製作国:アメリカ(2021年)

配給:ディズニー・メディア・ディストリビューション

監督:ブライアン・アンドリュース

本編:全9話

出演:ジェフリー・ライトほか

レビュー

マーベル・スタジオ初の公式アニメシリーズ。

過去に製作されたMCUの物語を軸にしながら、「もしも…」のアナザーストーリーを”案内人”を名乗るストーリーテラー・ウォッチャーをレギュラーキャラクターとして、パラレルワールドで起きるMCUの新たな物語を紡いでいます。

登場キャラクターの声優は基本的に映画版でその役を演じた俳優が担当していて(一部異なるキャラクターもいますが)、割と違和感なく入り込めます。

第1話 もしも…キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?

対象作品:『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)

分岐イベント:ペギー・カーターが超人血清を打つことになった。

キャプテン・カーターとして出身国のイギリス国旗を身にまとったペギー。

カーターがヒーローとなったことでキャプテンにならなかったスティーブはハワード・スタークが開発したスーツを身にまとい”ヒドラ・ストンパー”へと変化を遂げました。

レッドスカルによる四次元キューブ使用の結果がエネルギー源から別次元の扉へと変化しましたが、大筋は変わらず、触りの物語としては程良いストーリーとなっています。

第2話 もしも…ティ・チャラがスター・ロードになったら?

対象作品:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)

分岐イベント:ラベジャーズが間違えてピーター・クイルではなくティ・チャラを誘拐し、ティ・チャラがスター・ロードになった。

憎めないおバカのピーター・クイルが落ちこぼれメンバーを組織した世界線ではなく、知性的で優れた外交能力を持つティ・チャラに主人公に変わったことで、あのサノスでさえも対話を経て考え方を改めた世界。

大筋は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ながら、もはやサノスを加えラベジャーズは銀河のヒーローとなっており、最もインフィニティ・ストーンに近いとされるコレクターと相対するとニンマリしてしまうような展開ですw

ソーのハンマーやキャプテン・アメリカの盾をはじめダーク・マターの短剣やダークエルフのヘルメット(『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2014))など持ち主を全てと倒し武器を集め、ブラック・オーダーを率いているコレクターの背景は明かされていませんが、相当に強そうですね〜

去年の8月に病気で他界したチャドウィック・ボーズマンの死後、初めて公開された『ブラックパンサー』出演エピソードでもあり、エピソードの最後には、彼を追悼する文言が映し出されていました。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

Wakanda Forever

第3話 もしも…世界が最強のヒーローたちを失ったら?

対象作品:『インクレディブル・ハルク』(2008)、『アイアンマン2』(2010)、『マイティ・ソー』(2011)等のフェーズ1の作品

分岐イベント:ホープがS.H.I.E.L.D.に入って殉職し、逆恨みしたハンク・ピムがアベンジャーズの初期メンバーを暗殺した。

『アベンジャーズ』の前日譚を描いたMCUによる公式コミック『アベンジャーズ:プレリュード』を元ネタにしたミステリータイプのストーリーです。

『マイティ・ソー』の”イザベラズ・ダイナー”や、『インクレディブル・ハルク』の”スタンリーズ・ピザ・パーラー”などマニアックな店名など映画版の設定を踏襲していてファンとしては嬉しい描写ながら、あまりの衝撃展開に驚愕した作品でもあるでしょう。

ホープ・ヴァン・ダインがS.H.I.E.L.D.で殉職した世界線で、それを逆恨みするハンク・ピムによるヒーロー暗殺事件。

ニック・フューリーは、『アベンジャーズ』(2012) と時を同じくして現れたロキの手を借りてイエロージャケットとなったハンク・ピムを倒すが、結果としてロキに地球を支配されてしまいます。

冷凍状態のキャプテン・アメリカを復活させ、キャプテン・マーベルを呼び出すことで“二人のキャプテン”を軸に新たなアベンジャーズを結成しようとするところで物語は終わります。

第4話 もしも…ドクター・ストレンジが手の代わりに恋人を失ったら?

対象作品:『ドクター・ストレンジ』(2016)

分岐イベント:スティーヴン・ストレンジがクリスティーン・パーマーと共に講演会に出席することになり、交通事故でクリスティーンが死ぬことがドクター・ストレンジ誕生の条件となった。

端的に言うと闇落ちするドクター・ストレンジ。

自らの腕がではなく恋人のクリスティーン・パーマーを失うという世界線で、彼女を取り戻すために四苦八苦するがタイムパラドックスを起こし失敗し続けるという時間系SFの王道ストーリー。

魔術師であるが故に数世紀にわたって魔物を自身に取り込み続けることでクリスティーンを死から救うことに成功するが、宇宙は崩壊してしまう…

なんとも重たい物語が続きますね〜

第5話 もしも…ゾンビが出たら?

対象作品:『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アントマン&ワスプ』(2018)

分岐イベント:量子世界でジャネット・ヴァン・ダインがゾンビ化し、ウイルスが蔓延

『マーベルゾンビーズ』を原作にインフィニティ・ウォーの冒頭から始まるゾンビパニック。

スパイダーマン、ハルク、ハッピー、カート、ウィンター・ソルジャー、シャロン・カーター、オコエ、ワスプの異色のチームでゾンビに挑んでいきます。

個人的にはゾンビ映画は好きですが、マーベルに落とし込まなくてもいいかな…と思ってしまいますが、原作は相当人気のようですし、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)では、幻覚の中でゾンビ化したアイアンマンが描かれていることもあり、実写化が起こってもおかしくはないのかな〜とも思います。

完全に詰んでいるのが面白くもあります。

第6話 もしも…キルモンガーがトニー・スタークを救ったら?

対象作品:『アイアンマン』(2008)、『ブラックパンサー』(2018)

分岐イベント:キルモンガーがトニー・スタークをテン・リングスから助けた。

『ブラックパンサー』で屈指の人気を誇るヴィランであるキルモンガー。

アイアンマンと共にMCUでは既にその役目を終えているため、If…ならではの共演となりましたw

トニー・スタークの命を救ったことでアイアンマンの誕生は幻となり、トニーのメカニックな才能や権力は利用することで世界を思うがままに変えていく流石の悪役っぷり。

一部「ガンプラ」やキルモンガーのスーツ(ベジータっぽい)などのキルモンガー(もしくはマイケル・B・ジョーダン)の日本好き説的なものも取り沙汰されていて、思わずニンマリしてしまうことも多いですが、父親との確執や好戦的な性格という共通点ながらの相違点を描いた秀逸な1話になっています。

第7話 もしも…ソーがひとりっ子だったら?

対象作品:『マイティ・ソー』(2011)

分岐イベント:オーディンがロキを養子にしなかったことで、ヨトゥンヘイムと平和な関係を築き、ソーは一人っ子として育った。

ひとりっ子として育てられたが故にどうしようもないわがまま王子として地球に降り立ったソー。

多種多様な宇宙人たちを招いて縁のある景色などを破壊するどんちゃん騒ぎに困り果てたS.H.I.E.L.D.はキャプテン・マーベルの援護を要請するというコメディタッチ。

シリアスな展開が続いた中でのはちゃめちゃ劇に思わず空いた口が塞がらないですが、一言で言うと母強し。笑

そしてもはやMCUで屈指のコメディキャラとなってしまったソーの成れの果てを感じることができる1話になっていますw

第8話 もしも…ウルトロンが勝ったら?

対象作品:『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)

分岐イベント:ウルトロンが人工ボディに意識をアップロードすることに成功し、ヴィジョンは誕生せず、アベンジャーズが敗北した。

文字通り最強最悪の存在となったウルトロンはサノスを瞬殺し、ストーンを揃え完全体となる。

『キャプテン・アメリカ / ウィンター・ソルジャー』(2014)を踏襲したゾラの演出と、ホークアイがブラック・ウィドウを助ける『アベンジャーズ / エンドゲーム』(2019)の名場面を入れ替えたシーンに加え、他の映画の小ネタが飛び交う映画ファンには嬉しい描写の数々に心惹かれます。

ウルトロンはついにはウォッチャーの存在を嗅ぎつけ…

第9話 もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?

MCUお決まりのクロスオーバーですが、ウォッチャーが介入することでマルチバースのヒーロー達がアッセンブルします。

スピンオフならではの集まり方ですが、実写では成し得ないIf…の世界をしっかり描写していてシリーズとして面白い作品となっています。

フェーズ4から6をマルチバース・サーガとしていますから、しばらくはこういった展開が多くなりそうですが、非常に楽しみでもありますね〜

シーズン2は2023年前半に配信予定との話ですので期待しましょう。

評価

脚本3.5

配役3.5

演出3.5

音楽3.5

映像3.0

IMDb 7.4 / 10

ROTTEN TOMATOS Tomatometer 94% Audience 93%

コメント