東宝から2022年12月9日に劇場公開された「ラーゲリより愛を込めて」の感想記事です。
辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基にした、実在の日本人捕虜である山本幡男の伝記作品です。
オススメ度
あらすじ&予告編
第2次世界大戦後の1945年。
シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは、零下40度にもなる過酷な環境の中、わずかな食糧のみを与えられて重い労働を強いられ、命を落とす者が続出していた。
そんな中、山本幡男は日本にいる妻や子どもたちのもとへ必ず帰れると信じ、周囲の人々を励まし続ける。
山本の仲間思いの行動と力強い信念は、多くの捕虜たちの心に希望の火を灯していく…
作品情報
製作国:日本(2022年)
配給:東宝
監督:瀬々敬久
本編:133分
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕、中島健人ほか
レビュー
戦争映画はたまに観ますが、戦国時代の物語と違って心に刺ささり過ぎるる印象が強くあまり気乗りしないのが本音ではあります。
そして身近でもシベリア収容の生存者の話を聞いたことがあるため尚更気が重く、観ようかすら迷っていたのですが、豪華俳優陣のトレーラーに当てられ鑑賞。 結果的には観てよかったと心から思います。
本編を観るにつれあまりの残酷な抑留生活に言葉を失うと共に、演出としてこれでもかと泣かせに来るがそこに違和感がないように感じられるのは事実を基にしているからでしょう。
流石に犬のくだりだったりあまりにそれらしい風貌や格好などやり過ぎ感溢れる気もしましたが、パンフレットを観る限りもはや忠実に再現されているとしか良いようの無い演出の数々。
原作は未読ですが、”遺書”から「愛を込めて」に変更された映画タイトル通り、”愛”に満ちた作品となっていました。
キャストも素晴らしく、二宮和也演じる山本幡男の芯の強さが光ると共に病床などの作り込みは圧巻。 彼を取り巻くキャストも人間味溢れる面々となっています。
人それぞれ泣くポイントは違うかもしれませんが、松坂桃李演じる臆病な松田の振り絞る勇気に泣かされました。 その後は弛んだ涙腺が最後まで弛みっぱなしでしたがw
直属の上官であった安田顕演じる原を皮切りに、母を失った松田が母へ、純粋無垢な中島健人演じるしんちゃんが子供たちへ、妻を失った相沢が妻へと送る4通の遺書のくだりは見事としか言いようがないでしょう。
急に現代へと時間が進む演出は若い世代へ向けたメッセージのようにも受け取れますし、寺尾聰が93年のドラマ『ラーゲリから来た遺書』で山本幡男を演じていたことを後で知り、作品に対するリスペクトを物凄く感じさせられました。
過酷な境遇に置かれても希望を信じ、人間らしく生きることを忘れない強い人間がいたということを私たちは忘れてはいけない、そんな風に思わせられる作品です。
「頭の中で考えていることは誰にも奪えない」
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.6 / 10
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