リアル・ペイン〜心の旅〜

ウォルト・ディズニー・ジャパンから2025年1月31日に劇場公開された「リアル・ペイン〜心の旅〜」の感想記事です。

第97回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞にノミネートされ、キーラン・カルキンが助演男優賞を受賞

オススメ度4.0

あらすじ&予告編

ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッドと、兄弟のように育った従兄弟ベンジー。

現在は疎遠になっている2人は、亡くなった最愛の祖母の遺言によって数年ぶりに再会し、ポーランドのツアー旅行に参加することに。

正反対な性格のデヴィッドとベンジーは時に騒動を起こしながらも、同じツアーに参加した個性的な人たちとの交流や、家族のルーツであるポーランドの地を巡るなかで、40代を迎えた自身の生きづらさに向きあう力を見いだしていく…

作品情報

原題:A Real Pain

製作国:アメリカ、ポーランド(2024年)

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

監督・脚本・製作・主演:ジェシー・アイゼンバーグ

本編:90分

出演:キーラン・カルキン、ウィル・シャープ、ジェニファー・グレイ、カート・エジアイアワン、ライザ・サドヴィ、ダニエル・オレスケスほか

レビュー

ジェシー・アイゼンバーグが自らのルーツであるユダヤ系ファミリーの歴史を辿る旅を、疎遠だった従兄弟とのロードムービーとして描いた作品。

アイゼンバーグはホロコーストを生き延びたポーランド人の祖先を持つゆえに、自伝的要素が多く含まれたファミリーヒストリーと呼ぶにふさわしいかもしれない。

ワルシャワ・ゲットーの英雄記念碑やクリジボウスキ広場、ルブリンの旧ユダヤ人墓地、ナチスの強制収容所のガス室へと舞台を転換させていく本作は、主演と監督を兼任するアイゼンバーグと、この役で助演男優賞を獲得したキアラン・カルキン扮する従兄弟が、互いの不信感を不器用に乗り越えていく過程に重きを置いた、人種や舞台を超越して万人の心に刺さる作品に仕上がっているといっても良いだろう。

彼らが悩みを突き詰めたところで分かりやすい答えが出ることなどないとわかったうえで、かつ本質的には善良な人間であることを感じて好意的に受け止め、ツアーの間くらいは見守ろうという気持ちを抱いているその他のツアー客のような気持ちで鑑賞させられたのは、一種の稀有な作品であることも窺える。
精神的に結構来る作品ではあるものの、本編1時間半という短さに救われる作品。
観る人によってはイライラさせられるかもしれないが、良作であるのは間違いない。

評価

脚本4.0

配役5.0

演出3.5

音楽4.0

映像3.5

IMDb 7.1 / 10

ROTTEN TOMATOS Tomatometer 96% Audience 82%

metacritic METASCORE 85 USER SCORE 7.1