ヴィレッジ

KADOKAWA、スターサンズから2023年4月21日に劇場公開された「ヴィレッジ」の感想記事です。

「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督のオリジナル脚本作品で、「新聞記者」「ヤクザと家族 The Family」「空白」などを手がけ、2022年6月に他界した河村光庸プロデューサーの最後のプロデュース作品です。

オススメ度3.3

あらすじ&予告編

美しい集落”霞門村”に暮らす片山優は、村の伝統として受け継がれてきた神秘的な薪能に魅せられ、能教室に通うほどになっていた。

しかし、村にゴミの最終処分場が建設されることになり、その建設をめぐるある事件によって、優の人生は大きく狂っていく。

母親が抱えた借金の返済のため処理施設で働くことになった優は、仲間内からいじめの標的となり、孤独に耐えながら希望のない毎日を送る。

そんな片山の日常が、幼なじみの美咲が東京から戻ったことをきっかけに大きく動き出す…

作品情報

製作国:日本(2023年)

配給:KADOKAWA、スターサンズ

監督・脚本:藤井道人

本編:120分

出演:横浜流星、黒木華、古田新太、中村獅童 、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、杉本哲太ほか

レビュー

地方の閉鎖的なコミュニティを舞台とした社会派作品。

世界各国でもそうかもしれませんが、過疎化が進む現在の地方創生サバイバルを描いた題材は、地方から都会へ出てきた身としてはやや喉に魚の小骨が引っかかるような気持ちに感じながらも、現代社会との乖離が小さく、どことなく作品の世界観に入り込みやすいように思います。

同じく藤井道人監督作品の「デイアンドナイト」(2019)を彷彿とさせる既視感の強いストーリーに、同じくスターサンズのドラマ「宮本から君へ」で観た一ノ瀬ワタルの役柄など、ファンゆえに集中を阻害する要素が多かったのは若干惜しいところではないでしょうか。

横浜流星は髭を生やした濁った目つきから、徐々に生き生きとし、終盤にかけて再び人生を転げ落ちる変化の大きい役どころをしっかり演じきっていて、今までに観たことのないダークサイドな部分など目を見張る演技を見せてくれていますし、総じてキャスティングは抜群であるように感じました。

閉塞した息苦しいコミュニティではあるものの、その中で守られてきた伝統芸能も描かれていて、薪能はそれだけでどこか迫力があり作品に深みが出ている気がしますし、能の演目「邯鄲」とストーリーの結びつきも感じられたのは良かったです。

総じて感情移入が出来る内容ではなかったし、思ったよりテーマが深掘りされなかった感じはありましたが、そこそこに感慨深いものがある作品であったように感じます。

評価

脚本3.0

配役4.0

演出3.5

音楽3.0

映像3.0

IMDb 5.6 / 10

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