夜明けのすべて

バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エースから2024年2月9日に劇場公開された「夜明けのすべて」の感想記事です。

瀬尾まいこの同名小説を実写映像化した作品です。

第48回日本アカデミー賞で優秀作品賞、優秀監督賞(三宅唱)、優秀主演女優賞(上白石萌音)の3部門受賞しています。

オススメ度3.6



あらすじ&予告編

PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。 転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。

職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。

やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる…



作品情報

製作国:日本(2024年)

配給: バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エース

監督:三宅唱

本編:119分

出演:松村北斗、上白石萌音、渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、久保田磨希、足立智充、りょう、光石研ほか



レビュー

闘病ものは見た後に引きずったりするために、観る時間と心構えを必要とするためやや敬遠してしまい、ズルズルと今になってしまった。 そして闘病ものですらないという。

先入観を序盤から拭い去るようにじっくりと主人公たちの日常に寄り添っていく。

PMS(月経前症候群)とパニック障害に苦しむ者同士が、弟を自死で亡くした社長をはじめ2人の変調を普通に受け入れる社員たちがいる移動式プラネタリウム制作会社で出会う。

恋人同士でもなく同じ痛みを共有し合うでもない2人が、表現するのも難しい不思議な気持ちで繋がるように関係を紡いでいき、そのやりとりに救われる人も多いだろう。

自然とそんな気持ちにさせてくれる上白石萌音をはじめとするキャスティングが良いことは間違いない。

痛みを知っている人は他者に優しくなれる。

どんな暗い夜にでも夜明けは訪れ、それは希望なのか勇気なのか、はたまた全然違うものなのかもしれないが、心をリセットするみたいな意味合いをタイトルに込めているのではないかとさえ思わせられる。

誰もが何かしらの事情を抱えて生きている。
地球の自転を感じるようにゆったりと夜明けを待ってみるのもたまには良いだろう。



評価

脚本4.0

配役5.0

演出3.0

音楽3.0

映像3.0



IMDb 7.1 / 10