東京テアトル、リトルモアから2017年5月13日に劇場公開された「夜空はいつでも最高密度の青色だ」の感想記事です。
最果タヒによる詩集を原作とした作品です。
オススメ度
あらすじ&予告編
看護師をしながら夜はガールズバーで働く美香は、言葉にできない不安や孤独を抱えつつ毎日をやり過ごしている。
一方、工事現場で日雇いの仕事をしている慎二は、常に死の気配を感じながらも希望を求めてひたむきに生きていた。
排他的な東京での生活にそれぞれ居心地の悪さを感じていた2人は、ある日偶然出会い、心を通わせていく…
作品情報
製作国:日本(2017年)
監督:石井裕也
本編:108分
出演:石橋静河、池松壮亮、佐藤玲、三浦貴大、ポール・マグサリン、市川実日子、松田龍平、田中哲司ほか
レビュー
都会の住むクセの強い男女が、それぞれに抱えている葛藤と向き合いながら心を通わせていく様を描くロマンス作品。
社会不適合者やコミュ障まではいかないが、クセの強いキャラクターたちを描く本作は、やや昭和感漂う世界観として捉えると非常に入り込みやすいが、現代の東京と言われるとどうだろうか…
自己肯定感や承認欲求が全盛とも言える時代で、他人への興味も希薄なのがスタンダードな生活を送る個人としては感情移入しにくい場面も多々あるように見受けられますが、死を意識することで自らの気持ちとの向き合い、さらにはそれを相手に伝える大切さを感じさせられる内容だったように感じます。
石橋静河と池松壮亮が演じる二人は、何重にもロックをかけたかのような開かない心を持ったくせ者で、その壁を1枚ずつ破壊していくように描かれていたのは非常に好感が持てたし、最後まで開ききらない心の壁を演じる両者は、間違いなく実力派と言って良いでしょう。
居場所がない孤独な都会で生きる二人が互いを居場所とし、それに伴って見ていた光景も変貌を遂げる邦画らしい演出は好きです。 アニメ映像の必要なかった気がしますが。
一見、ハッピーエンドと見える終わり方だが、他の居場所のない人間はどうだろう。
フィリピンへ帰るもの、現状を精一杯生きるもの、そして居場所を見つけたかに思えた瞬間死んだもの…
自分の居場所を見つけられない人間が都会に多く蔓延っているように感じると、色々と考えさせられるものがあります。
普通を絵に描いたような男である自分にはややリアリティの足りなさを感じる印象に残りにくい作品のように感じましたが、テーマ性とキャスティングは抜群の良作だと思います。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 6.6 / 10
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