東宝から2023年12月15日に劇場公開された「屋根裏のラジャー」の感想記事です。
A・F・ハロルドの児童文学『ぼくが消えないうちに』を原作とした作品で、スタジオポノックとしては『メアリと魔女の花』(2017)以来6年ぶりとなる長編アニメーション映画です。
オススメ度
あらすじ&予告編
少年ラジャーは 人間に忘れられると消えていく《イマジナリ》。
絶対絶命のラジャーは忘れられた想像たちが暮らす《イマジナリの町》で仲間たちと出会う。
それは、現実と想像を超えた大冒険と家族の奇跡のはじまりだった…
作品情報
原題:The Imaginary
製作国:日本(2023年)
配給:東宝
監督:百瀬義行
本編:108分
出演:寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、杉咲花、山田孝之ほか
レビュー
想像から生まれたイマジナリーフレンドを主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描いた作品。
冒頭から想像の世界を駆け巡る疾走感や水滴の表現など、ジブリのカラーを色濃く残すスタジオポノックだからこそ可能であった映像表現に舌を巻きます。
脚本も原作読者には大分端折られた感じは否めないなれど、個性的なイマジナリーたちをしっかりと描写されていたように感じますし、ラストへかけて大きな盛り上がりを見せ、しっかりと泣かせていただきましたw
変に邦画寄せに編集しないところが好感触であり、街並みや図書館の描写など色鮮やかに見事に演出されていますし、イマジナリー自体も普遍的な幼少期の遊びの一つで共感できる人も多いはず。 大人になると、より自分を投影した妄想が多くなるけど根幹を思い出させてくれるような懐かしさが漂う気もします。 駅とか道でおじさんが1人でブツブツ喋ってるのを見たら、イマジナリーと喋っているんだな、と少し優しくなれる…かもw
キャラクターも個性豊かなイマジナリーたちが盛り立て、ミスター・バンディングが強烈なインパクトを残しているとともに、キャスティングは寺田心と鈴木梨央がしっかりと溶け込んでいる感じがしましたし、安藤サクラにしか出来ない言い回しなどハマり具合も光りました。 個人的には寺尾聰が最高でした。
そして音楽。 エンディングはまるで大人になったアマンダとラジャーが掛け合うかのような素晴らしい楽曲。 劇中曲も選りすぐられていて非常に良いアクセントを放っていました。
惜しむらくはディズニー100周年の「ウィッシュ」と同日公開でターゲット層丸かぶりなことと、日テレがスポンサーなこともあるのかCMなどで全く目にしないなど広告面の影響もありほぼ貸切の劇場での鑑賞となったこと。 もちろん人が少ないのは煩わしくなくて良いのですが、間違いなく名作であろう本作がここまで広まっていないのは悲しいところです。
個人的には今年の劇場鑑賞作品で1番泣かされた秀作です。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 6.9 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer –% Audience –%
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