東宝、ギャガから2023年6月2日に劇場公開された「怪物」の感想記事です。
第76回カンヌ国際映画祭において、脚本賞、クィア・パルム賞を受賞。
第47回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞(安藤サクラ)をはじめ、作品賞、新人俳優賞(黒川想矢、柊木陽太)、優秀監督賞(是枝裕和)、優秀美術賞(三ツ松けいこ、徐 賢先)、優秀音楽賞(坂本龍一)、優秀撮影賞(近藤龍人)、優秀編集賞(是枝裕和)、優秀照明賞(尾下栄治)、優秀録音賞(冨田和彦)を受賞しています。
オススメ度
あらすじ&予告編
大きな湖のある郊外の町。 息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。 それは、よくある子供同士のケンカに見えた。 しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。
そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した…
作品情報
製作国:日本(2023年)
配給:東宝、ギャガ
監督:是枝裕和
本編:125分
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ほか
gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
レビュー
真相がわからない一連の出来事を複数の当事者の視点から描かれている本作。
視点を変えながら、学校での事象や関わり、台風の一夜の出来事が多面的に語られることで事実が徐々に明かされていきます。
真相究明に拘るのではなく、それぞれの考え方や感じ方、立場によって事象の捉え方が変わる認知バイアスを存分に味合わされるとともに、それぞれがさまざまな視点から怪物に仕立て上げられているのが巧妙ですね~
冒頭から早織に感情移入して観ると校長をはじめとする学校側の対応に腹立たしさしかないし、保利先生ら学校側から語り直されると早織がモンスターペアレントに映る… 広くも浅くも自分や家族の尊厳をおびやかされると感じた対象を“怪物”と認識するのであれば、自分のことをよく知らない相手から自らも“怪物”に見えているのかもしれない… それらが妙にリアリティを帯びていて心が騒めきます。
そして、ラストシーンも見た目通りの捉え方ではなく真逆の解釈も可能では…と、考えさせられるだけに、脚本が素晴らしすぎますね〜 お見事です。
理由はあれど嘘が入り乱れる中でそれぞれのキャラが際立っていて、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太がそれぞれ演じきっているところも見所としてあると思います。 個人的には田中裕子さんの演技力にやられました。
一度は観るべき作品だと感じます。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.8 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 96% Audience 91%
metacritic METASCORE 79 USER SCORE 8.2