十一人の賊軍

東映から2024年11月1日に劇場公開された「十一人の賊軍」の感想記事です。

オススメ度4.5



あらすじ&予告編

1868年、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍の間で争われた戊辰戦争。

そのさなか、新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟に加わっていた新発田藩で繰り広げられた、同盟への裏切りに、捕らえられていた11人の罪人が新発田藩の命運を握るある砦を守る任に就き、壮絶な戦いに身を投じる…




作品情報

製作国:日本(2024年)

配給:東映

監督:白石和彌

本編:155分

出演:山田孝之、仲野太賀、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、野村周平、音尾琢真、玉木宏、阿部サダヲほか



レビュー

戊辰戦争を舞台にした決死の時代活劇。
新発田藩による新政府軍への寝返りの史実をもとに描かれるストーリーは、幕末好きには堪らない。
時々何を言っているのかわからない、流暢な新潟弁?をはじめ白石和彌作品らしさも光る。
抜群の音響演出は見事。  予告編のようにDragon Ashを流されたらどうしようかという不安感はしっかり払拭。
炎の上がる中での殺陣や時代劇ではなかなか観ない画角が映える。 陰影に注力している感じが多く、全体的に暗いが見づらいほどではないし、緊迫感が強く出ている。  ややCGはしょぼいがw

キャストも先に述べた方言を違和感なく吐き出していて深みを出しているし、それぞれのキャラが抜群に立っているのは間違いない。 こんなに恐ろしい阿部サダヲは見たことないw 芸人はいらん。

「七人の侍」や「十三人の刺客」のように、仲間を集めて一致団結して他勢に無勢で立ち向かう時代劇とは打って変わって、ベクトルがバラバラですぐさま裏切る人の醜悪さを集めたような前半部分は、収拾がつくのかと不安になるほどw  それもリアリティに感じられるところが素晴らしいし、白石和彌が描くヒューマニズムとも取れるのは間違いない。 後半部分も決して一貫性はなく揺れ動く心情を蔑ろにしない等身大の”人”を描いている感じがある。

と、物凄く良いところと個人的に杜撰に感じるところが混在した印象を受ける作品ですが、もうラストの仲野太賀の殺陣に全て持って行かれた。  素晴らしすぎたし、感動すら覚えた。

正直なところ時代劇の定番的な勧善懲悪らしく溝口に鉄槌が下ってほしいとは思ったが、世の中はそう上手く回ってないしラストも文句はない。

東映時代劇の新時代を切り開く作品に仕上がっていると感じます。 劇場で観て良かった。



評価

脚本4.5

配役4.5

演出4.5

音楽4.5

映像4.5



IMDb 6.3 / 10