第48回 日本アカデミー賞

ACADEMY AWARDS
引用元:日本アカデミー賞 公式サイト

2025年3月14日に開催された「第48回 日本アカデミー賞」の受賞作品のまとめ記事です。

昨年は第96回アカデミー賞で邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』(2023)が作品賞含む8部門で最優秀賞を受賞しました。

今年も受賞作品の中から選り好みで紹介させていただきます。

侍タイムスリッパー

都内1館のみの公開から全国100館以上での公開となった作品。

最優秀作品賞、最優秀編集賞(安田淳一)を受賞しています。

観客を巻き込めるような突き抜けたストーリー展開も共通しているし、廃れゆく時代劇とそれを支える人々を描くテーマ性が相まってアツい作品に仕上がっていると感じる。

ルックバック

大人気シリーズ「チェンソーマン」で知られる藤本タツキが、2021年に「ジャンプ+」で発表した読み切り同名漫画の劇場アニメ化作品。

最優秀アニメーション作品賞しています。

2人の出会いからifの世界まで余計なものが付け加えられることなく、それでいて大いに刺さるものがあり、58分という短尺ながら2時間の佳作映画に引けを取らない見応えに心が震えるのを感じました。

正体

引用元:映画「正体」

染井為人の長編同名小説を原作としたWOWOWの連続ドラマに続いての実写映像化作品。

最優秀監督賞(藤井道人)、最優秀主演男優賞(横浜流星)、最優秀助演女優賞(吉岡里帆)を受賞しています。

敷居が高いように見える社会派作品も、藤井道人の監督作品に触れることで最近は観る機会が随分と多くなったし親しみやすくなった感じすらある。 そして何より犯罪溢れる混沌とした時代だからこそのリアリティのある闇深さがテーマとして刺さる。

あんのこと

ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ作品。

最優秀主演女優賞(河合優実)を受賞しています。

脚本も兼ねた入江悠らしくないテイストに感じるが、しっかりと過酷を極める人生の一端を表現していて、社会派の高いハードルを超え観客の心を鷲掴みししたのではないでしょうか。

近年、社会の底辺とも呼べるようなもがく人々の可視化を試みた作品が散見されるようになった気がしますが、実話をベースとしながら辛く悲しい物語を現実感ある手触りで描いていることに加え、キャストの圧巻と呼ぶに相応しい演技力が印象的です。

キングダム 大将軍の帰還

原泰久の同名人気漫画を実写映画化した大ヒット作「キングダム」シリーズの第4作。

最優秀助演男優賞(大沢たかお)、最優秀撮影賞(佐光朗)、最優秀照明賞(加瀬弘行)を受賞しています。

シリーズ4作目で原作の序盤最大級の山場を遂に実写化。

ダイジェストと2部作後編と言っても良いほどに前作のラストからそのまま続くような内容で、スタートから少し高まった状態で一気に作品に引き込んでくれます。

カラオケ行こ!

和山やまによる同名漫画の実写映像化作品。

最優秀音楽賞(世武裕子)を受賞しています。

ニヤリとする場面がちらほらある一方で、ヤクザと中学生の友情や、中学生男子の成長を描いたヒューマンドラマとしてハートウォーミングな作品に仕上がっています。

オッペンハイマー

カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるピューリッツァー賞受賞作である伝記『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』を原作とし、第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話に基づき描いた作品。

第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞をはじめ最多13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞を果たしました。

最優秀外国作品賞を受賞しています。

原爆の成果を肯定的に描いているわけではなくて、原子爆弾の開発に成功した理論物理学者”オッペンハイマー”がアメリカの国家戦略に巻き込まれていくプロセスとその苦悩を主観的に描こうと試みた作品で、それゆえに映像化も難しいのは間違いなく、モノクロなどの工夫を凝らしながら時間軸を行き来し、彼を取り巻くカオスをその視点で体験できるように工夫している秀逸な作品に仕上がっています。

ゴールデンカムイ

野田サトルの大人気同名漫画の実写映像化作品で。

ロケーションムービーとしてもよく出来ていて、実際に北海道の雄大な自然で撮影したであろう雪原での数々のシーンが実に寒そうでw  いかにもな作り込まれたセットと相まって時代背景が落とし込みやすかった様に感じます。

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦

バレーボールにかける高校生たちの熱い青春を描いた古舘春一の人気漫画を原作とする大ヒットアニメ「ハイキュー!!」の続編となる作品で、原作の中でも屈指の人気エピソード「烏野高校VS音駒高校」を描いたファイナルと題する劇場版2部作の第1弾です。

白鳥沢、稲荷崎と強敵を撃破した烏野が、合宿で凌ぎを削り因縁もある猫駒と春高の舞台で激突する本作は、紛うことなき大盛り上がりを見せるのは言うまでもないでしょう。

もちろんラリー中に巡ってくる回想シーンなどテンポの停滞感は否めないし、負けたら終わりと言いつつ1点に対する描写が短く心情を読み取るまでに至らない点はあるかもしれませんが、それら全てが原作ファンには堪らなく涙腺を刺激するものになっているのは間違いないです。

十一人の賊軍

戊辰戦争を舞台にした決死の時代活劇。
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新発田藩による新政府軍への寝返りの史実をもとに描かれるストーリーは、幕末好きには堪らない。

八犬伝

山田風太郎の小説「八犬伝」の実写映像化作品。

ダイナミックなスケールで描く八犬伝と、物語を生み出した滝沢馬琴の感動の実話を交錯させて描いた本作は、ハイクオリティの八犬伝パートに滝沢馬琴の想いや苦悩が織り交ぜられることで深みが出ているのが実に印象的。

”虚”と”実”のバランスが素晴らしい。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

機動戦士ガンダムSEED』を初めとするコズミック・イラ (C.E.) 年代を舞台にした作品であり、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の直接的な続編として製作された作品です。

コーディネーターの進化版のアコードは残念な感じだったし、恋愛模様も駆け足。 キラのウジウジ感も含めてSEEDらしさと言って良いでしょう。

夜明けのすべて

瀬尾まいこの同名小説を実写映像化した作品。

痛みを知っている人は他者に優しくなれる。

どんな暗い夜にでも夜明けは訪れ、それは希望なのか勇気なのか、はたまた全然違うものなのかもしれないが、心をリセットするみたいな意味合いをタイトルに込めているのではないかとさえ思わせられる。

碁盤斬り

古典落語『柳田格之進』を基にした時代劇作品。

単純な勧善懲悪では表せない物語、特に柳田の正義との葛藤が深く観るものに突き刺さる。
男臭い。 それが堪らない。

ミッシング

娘の失踪事件をきっかけに、情報の荒波に巻き込まれ翻弄されていく母親とその家族たちの姿を描いた作品。

子どもが行方不明になった夫婦の再生を軸に、報道姿勢の大きな問題を盛り込むことで深みある作品となっています。
表現しづらいが現代社会の生んだ”歪さ”が見事に表現されている構成の上手さが光るとともに、キャスティングにも余念がありません。

 

 

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以上、「第48回 日本アカデミー賞」で受賞した作品のまとめ記事でした。