2021年4月25日に開催された「第93回アカデミー賞授賞式」受賞、またはノミネートした作品の感想記事のまとめです。
様々な受賞・ノミネート作品の中から選り好みで紹介させていただきますw
「ノマドランド」
ジェシカ・ブルーダーが2017年に発表したノンフィクション小説『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』を原作とた作品です。
作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)を受賞。
ジャオは有色人種の女性として初めて監督賞を受賞し、マクドーマンドは同一作品で製作者と出演者の両方としてアカデミー賞を受賞した史上初の人物となりました。
また、第78回ゴールデングローブ賞では映画作品賞(ドラマ部門)と監督賞を受賞、第74回英国アカデミー賞では最優秀作品賞を含む4部門を受賞、第36回インディペンデント・スピリット賞では最優秀作品賞を含む4部門を受賞とタイトルをまさに総ナメした作品となりました。
アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービー。
この作品の驚くべきところは、フランシス・マクドーマンドが演じるファーンと出会う車上生活者たちがエンドロールにもあるように自分の名前で出演していることです。 もはやそれを出演と言うのかもよくわからないですが、ありのままの姿で自らの過去などを語るその様はドキュメンタリー映像を観ているような感じで、ノンフィクション小説を基にしたドラマとドキュメンタリーを融合させた斬新な発想が抜群に効いていて、リアリティに大いに引き寄せられます。
「ファーザー」
劇作家フローリアン・ゼレールの映画監督デビュー作で、自身が2012年に発表した戯曲『Le Père 父』を原作にした作品です。
主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)、脚色賞(クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール)を受賞しています。
認知症側を主観から描く類をみない作品です。
「老い」という普遍的なテーマをアンソニー・ホプキンスの演技で色づけた名作と言えるでしょう。
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
監督であるエメラルド・フェネルの長編デビュー作にして、作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門にノミネートされ、脚本賞(エメラルド・フェネル)を受賞した作品です。
タイトルである”明るい未来が約束された若い女性”の物語。
そんな若者が性的暴行されたことで命を断ったことに対する復讐に生きる主人公が描かれます。
前半と後半でガラリと変わるテイストが持ち味で、想像もできない展開と伏線回収によって強烈で痛快なエンディングは圧巻の一言です。
「TENET テネット」
「ダークナイト トリロジー」や「インセプション」、「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作です。
視覚効果賞を受賞しています。
「ダークナイト」(2008)以来、IMAXカメラ撮影による圧倒的なスケール映像とCGに頼らないクラシックな絵作りが定評のクリストファー・ノーラン監督。
ノーランは過去作で常に時間をテーマにしてきたが、「メメント」(2000)の冒頭にある銃の逆再生から発展させたかのような演出で、時間の逆行が存在する世界を描き、未来の戦争を阻止するために戦うという「インターステラー」以上に優るとも劣らないSFストーリーが繰り広げられます。
ある意味で過去作を踏襲しつつも超えている上に、製作費としても過去最高。 ボーイング747を購入して爆破することで得た臨場感溢れる演出も見所の一つです。
「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」
ローレン・リドロフをはじめとして聾者の俳優が多く起用された作品。
激しいドラムプレーから音の無い世界へとシフトさせ、自分の状態と向き合っていくまでの過程を巧妙に演出しています。
また、劇中の演奏は文字通り生演奏で撮影され、映画自体も時系列で撮影するこだわりの強さが良い方向に現れていて見応え十分です。
「ソウルフル・ワールド」
ピクサーの長編映画としては、同年に上映する『2分の1の魔法』に次ぎ1995年公開の『トイ・ストーリー』から数えて23作目となる作品です。
作曲賞(ジョン・バティステ、トレント・レズナー、アティカス・ロス)、長編アニメーション賞を受賞。
人間が生まれる前に「どんな自分になるか」を決めるソウルの世界を舞台に、そこへ落下したジョーとソウルの世界に住む22番の2人を主人公に据え、ジョーが地上へと戻るために2人が繰り広げる冒険を軸に、互いに欠けていたものを見つけながら人生の素晴らしさや煌めきなどを描写しています。
人間とは魂とはなにか、という哲学的なテーマをディズニーらしい丸みを帯びた可愛らしいキャラクターで演出させる素晴らしい作品です。
「愛してるって言っておくね」
短編アニメーション賞受賞。
12分のストーリーでこんなにも人の心を動かすことができるのか、と驚きつつ完全に脱帽です。
タイトルの『愛してるって言っておくね』がどういった意味でどんな形で使われるのかを知った時、涙が止まらなくなること間違いなしです。
「隔たる世界の2人」
NBAのスーパースターであるケビン・デュラントとマイク・コンリー。 2007年のNBAドラフトの同期2人がエグゼクティブ・プロデューサーとして制作に関わったことで話題なった作品です。
短編実写映画賞受賞。
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以上、「第93回アカデミー賞授賞式」で受賞、またはノミネートした作品の数々でした。
バックナンバーは以下から。
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