THE 94th ACADEMY AWARDS

ACADEMY AWARDS
引用元:THE 94th ACADEMY AWARDS

2020年3月27日に開催された「第94回アカデミー賞授賞式」の受賞、またはノミネートした作品の感想記事のまとめです。

様々な受賞・ノミネート作品の中から選り好みで紹介させていただきます。

「コーダ あいのうた」

引用元:ギャガ公式

家族の中でただひとり耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。

2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク作品です。

作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門を受賞。

トロイ・コッツァーは、男性の聾者の俳優で初のオスカー受賞者となりました。

「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のことを指し、家族で唯一の聴者であるルビーは家族と社会を繋ぐ役目を担っている。

そんな少女の心の葛藤と成長を描いたヒューマン・ドラマに淡い青春ストーリーを交え、聴者である娘に依存する家族の自立を描いた作品。

ジェンダーや人種などを題材にした作品が取り上げられることが多い昨今の中で、本作では聾者の家族の生活を描いていて、その窮屈さの中で逞しく生きる素晴らしい家族愛を感じることが出来ます。

引用元:Netflix

トーマス・サヴェージ1967年の同名小説を原作とした映画化作品です。

第94回アカデミー賞では最多となる11部門でのノミネート、監督賞(ジェーン・カンピオン)を受賞しています。

ジェーン・カンピオンは女性では史上3人目となるアカデミー監督賞受賞となりました。 また、2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞しています。

1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、無慈悲な牧場主と彼を取り巻く人々との緊迫した関係を描いたヒューマンドラマ作品。

西部劇を観ているかのような牧場風景は広大なアメリカの大地を容易に感じさせてくれますし、ニヒルな感じで序盤から躍動するカンパーバッチ演じるフィルに釘付けにされます。

「ドリームプラン」

ウィル・スミスが主演・製作を務め、世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげたテニス未経験の父親”リチャード・ウィリアムズ”の実話を基に描いたドラマ作品です。

作品賞をはじめとする6部門でノミネートされ、そのうちウィル・スミスが主演男優賞を受賞しています。

今尚活躍するテニス界のレジェンドの原点を知ることのできる映画作品です。

キャストが非常に素晴らしいです。

「タミー・フェイの瞳」

引用元:Disney+

2000年に公開されたドキュメンタリー映画『The Eyes of Tammy Faye』を原作とした作品です。

主演女優賞(ジェシカ・チャステイン)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞。

1970年代から80年代にかけてアメリカで大きな成功を収めたテレビ伝道師タミー・フェイとジム・ベイカー夫妻の波乱万丈の人生を、タミーの視点から描いた作品です。

生い立ちの過酷さを噯にも出さない明るさと歌唱力で人々を魅了し、マイノリティの方に寄り添うタミーをジェシカ・チャステインが好演しています。

ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を基に、アーサー・ローレンツ、レナード・バーンスタイン、スティーヴン・ソンドハイムが1957年に発表したブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド物語』の2度目の長編映画で、本作はスティーブン・スピルバーグが監督した話題作です。

本作は、第79回ゴールデングローブ賞、第94回アカデミー賞にて助演女優賞(アリアナ・デボーズ)を受賞しています。

1950年代のニューヨークのウエスト・サイドでのヨーロッパ系移民「ジェッツ」とプエルトリコ系移民「シャークス」で起こっている若者の対立と、「ロミオとジュ

冒頭のワンカット長まわしから引き込まれること間違いなしです。

前作を見てはいないですが、全体的にクラシックな描写でまとめつつもおそらくかなり現代風にアレンジされていて、変わりつつある街と社会問題をテーマにした物語にリアリティを感じます。

「ベルファスト」

監督であるケネス・ブラナーの半自伝的な作品です。

第94回アカデミー賞にて作品賞、監督賞をはじめとする7部門にノミネートされ、そのうち脚本賞(ケネス・ブラナー)を受賞しています。

俳優・監督・舞台演出家としてマルチな活躍を見せているケネス・ブラナーが、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。

ブラナーの出身地である北アイルランドのベルファストを舞台に、激動の時代に翻弄されるベルファストの様子や、困難の中で大人になっていく少年の成長などを力強いモノクロ映像で綴られています。

現在から1969年8月15日に移りあっという間に暴徒に囲まれるという冒頭のカメラワークに一気に引き込まれ、モノクロだからなのか表情であったりセリフがより沁みる気がするなど演出も見事で、全体的に緊迫感も付加しつつ絶妙なバランスを保っています。

「DUNE デューン 砂の惑星」

フランク・ハーバートのSF小説『デューン 砂の惑星』を原作とした映像化作品。

視覚効果賞、美術賞、撮影賞、編集賞、作曲賞(ハンス・ジマー)を受賞。

『Dune: Part Two』が、2023年10月に劇場公開されることが決定しており、前日譚ドラマである『Dune: The Sisterhood(原題)』が作られることも決まっています。

壮大なストーリーを感じさせられるが、序章に過ぎず理解が追いつかない展開はご愛嬌。

惑星タトゥイーン感漂う砂だらけの景観に、無機質な宇宙船というナチュラルな対比でSFファンには堪らない演出が魅力的な作品です。

「クルエラ」

引用元:Disney+

ディズニーのアニメーション映画『101匹わんちゃん』の悪役クルエラ・ド・ヴィルの若き日の姿を描くオリジナルストーリーです。

続編の制作もエマ・ストーンの主役で決定しています。

衣装デザイン賞を受賞しています。

映画史上もっとも悪名高きファッショナブルな悪役”クルエラ・ド・ヴィル”の幼少期から反逆的な青年期を描いた実写作品。

1人の女性のサクセスストーリーと復讐劇を描き、ファッショナブルでスタイリッシュな演出が光る作品です。

「ドライブ・マイ・カー」

村上春樹の同名小説である「ドライブ・マイ・カー」より主要な登場人物の名前と基本設定を踏襲して、同じく村上春樹の小説「シェエラザード」「木野」(いずれも短編集『女のいない男たち』所収)の内容や、アントン・チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』の台詞を織り交ぜた新しい物語として構成された作品です。

2009年の『おくりびと』以来となる国際長編映画賞(日本)受賞。

そのほかにも邦画初となる作品賞を含む4部門にノミネートされました。

喪失と再生を大きなテーマとして取り扱い、残されたものの気持ちを描きつつも肝心なところは想像力に委ねるという、ある意味日本ぽい作品です。

「ミラベルと魔法だらけの家」

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとしては同年公開の『ラーヤと龍の王国』に次ぎ、1937年公開の『白雪姫』から数えて60作目となる長編映画で、2017年公開の『モアナと伝説の海』以来4年振りの新作オリジナル・ミュージカル映画となる作品です。

アニメーションとミュージカルの絶妙なコントラストが光る作品です。

子供が楽しむには最高であるように感じます。

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」

引用元:007.com

イーオン・プロダクションズが製作する「ジェームズ・ボンド」シリーズの第25作目で、主演のダニエル・クレイグとしては5度目にして最後の作品。

ビリー・アイリッシュの“No Time To Die”が主題歌賞を受賞しています。

2006年の「007 / カジノ・ロワイヤル」で6代目のジェームズ・ボンド役となったダニエル・クレイグが5作15年を経てついに集大成を披露しています。

引用元:Netflix

マット・ロジェリンの小説を原作とした”実話に基づくかもしれない”を謳った作品。

作品賞、脚本賞、編集賞、作曲賞の4部門にノミネートされました。

彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を描いたブラックコメディドラマ。

世界滅亡がささやかれた時、あなたは上を向くか、それとも下を向くのか…

「マクベス」

引用元:Apple TV+

ウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇のひとつとして知られる戯曲『マクベス』を原作とした作品です。

第94回アカデミー賞で主演男優賞(デンゼル・ワシントン)、美術賞、撮影賞(ブリュノ・デルボネル)にノミネートにされました。

シェイクスピアビギナーからしても、ストーリー展開や映像美、世界観と知識がなくとも味わい深い作品であることは間違いないです。

詩を朗読しているかのようなセリフ回しや奥行きのある画作りがモノクロで綴られる映像演出に映え、センスに溢れる重みのある作品に仕上がっています。

 

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以上、「第94回アカデミー賞授賞式」で受賞、またはノミネートした数々の作品の中から、個人的に選抜した印象深いタイトルでした。

 

バックナンバーは以下から。

コメント

  1. whoiscall より:

    Cheers!