ギャガから2023年3月3日に劇場公開された「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の感想記事です。
アメリカでは2022年3月11日に開催されたサウス・バイ・サウスウエスト映画祭のオープニングを飾り、3月25日より公開されていた作品です。
「第95回アカデミー賞授賞式」にて、作品賞、監督賞(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート)、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クァン)、助演女優賞(ジェイミリー・リー・カーティス)、脚本賞(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート)、編集賞を受賞するなど、最多7部門を制しています。 なお、主要8部門のうち6部門を獲得する偉業で、オスカーの歴史を塗り替えています。
オススメ度
あらすじ&予告編
エヴリンは優柔不断な夫ウェイモンドと反抗期の娘、頑固な父と暮らしながら、破産寸前のコインランドリーを経営している。
税金申告の締め切りが迫る中、エヴリンはウェイモンドに並行世界に連れて行かれる。
そこでカンフーマスターさながらの能力に目覚めたエヴリンは、全人類の命運を懸けて巨大な悪と闘うべく立ち上がる…
作品情報
原題:Everything Everywhere All at Once
製作国:アメリカ(2022年)
配給:ギャガ
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート
本編:140分
出演:ミシェール・ヨー、キー・ホイ・クァン、ステファニー・スー、ジェニー・スレイト、ハリー・シャム・ジュニア、ジェームズ・ホン、ジェイミー・リー・カーティスほか
レビュー
カンフーとマルチバースの要素を掛け合わせ、ごく普通の中年女性がマルチバースを行き来し、世界を救う異色なアクションエンタメ大作。
ブルース・リーで風靡したカンフーに「マトリックス」シリーズ的なSF要素、さらに多様性を尊重する昨今の風潮を合わせ、「インセプション」(2010)ばりの情報量の多さと展開の目まぐるしさを兼ね備えたような作品であるように感じます。
しかし、マルチバースを除けば至って話はシンプル。
コインランドリーの経営が上手くいかず税金に悩まされ、娘が同性愛者であることも受け入れ難く、人生の分岐点に想いを馳せる。 何もかもどうでもよくなり、カオスに身を委ねようとする娘との絆を取り戻すストーリー。 崩壊気味の家族の再生、家族愛をテーマにしたヒューマンドラマ作品とも受け取れます。
そこにマルチバースの要素が合わさることで、より複雑に色濃く描かれる人間関係とストーリー展開が実に見事。
序盤のバタバタした展開から、様々な要素が徐々に絡み合う演出が没入感を加速させて離さないですし、絶妙な下ネタはある意味挑戦的で笑かしてくれ、散らかったマルチバース全体の話を集結させる手腕には感嘆すべきと感じます。
可能な限りバカみたいなことをすると多次元に飛べるっていう発想が個人的にはめちゃくちゃ面白くて、キャラクターたちが全力の真顔で演じきっているのを観て久しぶりに劇場で声を出して笑ってしまいましたw
誰もが一度は”たられば”で考えることを次元に変えて打ち出した作品だからこそ、一度しかない人生を楽しまなきゃなと思わせてくれます。
ありきたりな王道も良いですが、斬新な演出で観る側も冒険できる作品は貴重ですよね〜 新鮮な刺激に脳のシワが増えたように感じますw
賛否両論あり、特に日本では酷評も多いですが、個人的にはSF好きに俄然オススメしたい作品です。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.9 / 10
ROTTEN TOMATOS Tomatometer 94% Audience 86%
metacritic METASCORE 81 USER SCORE 7.6
コメント