キノフィルムズから2022年8月19日に劇場公開された「サバカン SABAKAN」の感想記事です。
オススメ度
あらすじ＆予告編
1986年、夏。斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生の久田は、夫婦ゲンカばかりだが愛情深い両親や弟と暮らしている。
ある日彼は、家が貧しく同級生から避けられている竹本と、イルカを見るため海へ出かける。
溺れそうになったり不良に絡まれたりと様々なトラブルに遭遇しながらも友情を育んでいく久田と竹本だったが、やがて別れを予感させる悲しい事件が起こる…
作品情報
製作国:日本（2022年）
配給:キノフィルムズ
監督:金沢知樹
本編:96分
出演:番家一路、原田琥之佑、尾野真千子、竹原ピストル、村川絵梨、福地桃子、ゴリけん、八村倫太郎、茅島みずき、篠原篤、泉澤祐希、貫地谷しほり、草彅剛、岩松了ほか
レビュー
1980年代の長崎を舞台に、2人の少年が繰り広げる冒険と、それぞれの家族との愛情に満ちた日々を描いた友情アドベンチャー作品。
「長崎の沖にある島に行けばイルカが見られる」
そんな誘いに乗っかって仲良しと言えない2人が1台の自転車で駆け出していく…
坂道を下りる過程ですっ転び、自転車はパンクし、ヤンキーに絡まれ、助けられ、島まで泳ぎきれず溺れかける…誰しもが幼少の夏休みの通過儀礼として行いそうなひと夏の大冒険は、思わず『スタンド・バイ・ミー』(1986)を感じざるを得ないわけではある。
しかし、無限の可能性を秘めているようなコワイ物知らずな当時を、思いがけず思い出すことがある人々には刺さる内容であると感じるし、心に刻まれた輝かしい記憶として共感を呼ぶ作品には違いないでしょう。
原作ベースではなくオリジナルで描かれているだけに、様々な映画に影響を受けながら綴ったであろう脚本は、抜群ではないにしろ初々しい子役たちの演技と古き良き自然豊かな日本の夏の光景と相まって、抜群の輝きを放っているように感じます。
天真爛漫な表情を見せる子役たちに加え、竹原ピストルの昭和の親父感や尾野真千子の肝っ玉かあさんと、両親役の二人の包容力は抜群であるように感じますし、自然体で過去を邂逅する草彅剛の面持ちには少し沁みる。
思いがけず泣かされてしまったのは言うまでもないが、醸し出す時代の雰囲気や音楽、情景に触れられる秀作であると感じます。
夏になったら観たくなってしまうな…
個人的には「ウォルター少年と夏の休日」(2003)に次いで、好きな夏休み作品になりそうです。
評価
脚本
配役
演出
音楽
映像
IMDb 7.3 / 10
コメント